とあるタクシー運転手の方からのご相談 - 龍光ブログ

とあるタクシー運転手の方からのご相談 - 龍光ブログ


とあるタクシー運転手の方から頂いた、龍光ポストへのご相談をキッカケに


大変感銘を受ける学びを頂戴いたしました。

その内容をご紹介させてくださいませ。

御本人の快諾を頂いて、頂いたご相談と、

そのやりとりをシェアさせて頂きます。

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初めまして

私は都内在住の男性(30代)で

タクシー運転手をしているMと申します。


私は中卒で学も無く仕事も長続きした事は無く無職期間もあった様なダメ人間です
(仕事は二年以内に辞めてしまう程です)


ただ 

今やってるタクシー運転手は

自分の性に合っていて 現在四年目です


基本的に仕事は楽しく

お客様から言われる


『貴方の運転は、いつもの運転手より早くて安くて助かりました、ありがとう』と

感謝の言葉を頂ける時はタクシー運転手冥利に尽きます


ただ 1%ぐらいの確率で

怖いお客様もいます



私に対して『アホ・バカ・マヌケ•殺すぞ・

そんなんだからお前はタクシー運転手なんだな』と

言った罵詈雑言が投げかけられる時があります


私に非(ルートミス)がある時は

その様な罵詈雑言は甘んじて受けるのですが


私に非が無い時にも

罵詈雑言を投げかけられる時もあり

少し心が痛む時があります



きっと一般的な社会人ならば

仕事をしていれば

心労なんて大なり小なり付いてくるものだ

その仕事は自分で選択した事だろ

愚痴ってるなら辞めてしまえ

と言ってしまえば その通りで

この悩み事は全て私の心の弱さが招いてるのです



ここで龍光さんにお聞きしたいのですが


その様な罵詈雑言を投げかけるられた時に

心の痛みを緩和する又

心を波立たせない様にするには

どの様な考え方や対処をすれば良いのか


ご教授頂けたら幸いです


お忙しい中 長文を読んで頂いてありがとうございます。

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以上がMさんから龍光ポストに頂いたご相談です。

これに対する自分のお戻しが下記です。

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Mさん

こんにちは、龍光です。

お便りくださり、有難うございます。


安全運転、いつも大変お疲れ様です。

多くの方々の進みたい次の地点へと、時間の制約がありながらも無事に運ぶ

大変尊いお仕事と感じております。


そして、なかなか長く続く仕事に出会えなかったなかで

性に合うお仕事が見つけられたとのことは、大変に有り難きことですね。

勝手ながら、自分も嬉しく感じております。


そして、Mさんからのお便りを拝読しながら、

大変恥ずかしく感じ入る自分がありました。


まずは、お門違いを承知してではありますが、

「誠に申し訳ありません」

と、先にお詫びをさせてくださいませ。


前世(得度前)においては、毎日のようにタクシーを利用させて頂いておりましたが、

過去に(勝手に期待していた)ルートとは違うルートであることに気がついて

運転手の方に散々にケチをつけてしまったことがあります。


お金を払っている立場であるだとか、

自分は会社で指示をするのが当たり前の立場であることに慣れきってしまっているだとか、

様々な「奢り」があったのだと反省をしております。


自分では今できないことだから、誰かに頼るというのが、

あらゆる職種かかわらず全ての「仕事」の基本であるということを

恥ずかしながら理解できておらず、感謝の気持ちすら失っておりました。


心に余裕がなく、荒んでいた時に、かつ酔いが回っていたなど、

すべて全く言い訳がたちません。

人として大変恥ずかしい出来事であったと感じ入っております。

申し訳ございません。


そして、罵詈雑言をはかれる方々、

それぞれ様々な状況があったかもしれないにせよ、

運転手のみなさまに失礼な発言をする全ての乗客に代わって

勝手ながら、大変申し訳ございません、とお伝えさせてくださいませ。


Mさんにお伝えしたところで「知ったことではない」かもしれませんし、

他の乗客に代わってなど、なんらイミもないことかもしれませんが、

そういう気持ちでお詫びをお伝えさせてくださいませ。



ルートミスも、誰だって有るものですから、

それも含めて、「思う通りではない」という状況に

罵詈雑言を吐くことは、人として大変恥ずかしく、

一切の言い訳が立たない事だと思っております。


そして、それを真後ろから浴びせられる恐怖は

体験の無い人間には、計り知れないものであろうと

勝手ながら想像をしております。


Mさんが、それを悩ましく感じていらっしゃるのは、

決して心の弱さなどではなく、

むしろ大変に美しいお心を持たれていらっしゃるからだと

感じております。

有り難きことです。有難うございます。



一方的なお詫びが長くなってしまいましたが、

頂いたご質問の下記


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その様な罵詈雑言を投げかけるられた時に

心の痛みを緩和する又

心を波立たせない様にするには

どの様な考え方や対処をすれば良いのか

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このような自分が偉そうに解答などできる立場には無い前提とはなりますが

あくまでひとつの戯言として、下記お戻しさせてくださいませ。



「罵詈雑言」という行為の原因は

焦り、不安、怒り、もしくはその混合など、様々な

負の感情があるのでしょう。


そして、それら"負の感情"の全ての根っこは

「思う通りではない」と感じる状態から生まれるものだと思います。


さらには「思う通りではない」と感じる背景には

「こうあってほしい」というお客さんの(一方的な)希望が土台にあります。


つまり、「こうあってほしい」という(いわば勝手な)希望が

その通りでないときに「なんでだよ!」の根っこが生まれる。


「こうあってほしい」というのは

「時間通りに目的地につく状態」

「期待する値段以内にすませられる状態」など様々でしょう。


それだけであれば、

タクシーに対して一般的に期待する「こうあってほしい」かもしれませんが、

時には

「自分が望むルートを間違いなく通る状態」

「自分の感覚でのアクセルやブレーキ操作で走行する状態」

「違う会社のタクシー会社を期待していた状態」

「〜〜の容姿や性別の運転手を期待していた状態」

さらには

「誰でもいいから、マウントをとって憂さ晴らしできる状態になりたい」

などなど、Mさんとはではどうにもならない

実に様々な「こうあってほしい」もあるかもしれません。



でも、罵詈雑言にまで発展するケースでは、

おそらくは、そのお客さんも様々な事で心に余裕が無くいらっしゃるのでしょう。

自分のお金の事、身体や心の健康上の事、

仕事の事、家族のこと、親の介護の事

などで悩まれていらっしゃるかもしれません。


もしくは、経済や政治、はたまた生きるというそのものに対して

日常のなかで様々な「思うとおりでない」負の感情が蓄積しており、

心に余裕が無くなっていたからなのかもしれません。


もちろん、だからといってタクシーの運転手の方に罵詈雑言を言ってよい

言い訳になどならないのですが、

そんな日常の不満のマグマが溜まっていたなかで、

タクシーに乗っていた中でのささいな「思う通りにならない」が

導火線となり、負の感情が爆発してしまったのでは、と。


特にタクシーという特殊な空間も大きいかもしれません。

密室で他に見られてない。

多分もう二度と合わない。

そして、相手の目を見ずに済む。

(twitterのような場所だと人の悪口を平気で言えるけれど、

本人の前で正面をきって悪口を言うのは多くの方はできない、しないと思います)

なので、感情のはけ口をぶつっけやすい環境なのかもしれません。



決して、たまたま乗ったタクシーのMさん個人が憎たらしくて

とか

走行の仕方やルートの取り方などに対して

直接的に腹立たしいという事だけではなく、

その乗客の方が日常で積み重ねてきた

「"こうあってほしい" / "思う通りの様"ではない」

という様々な負の感情の蓄積の上に、

タクシー内でのささやかな「(勝手な期待にし対して)思う通りになってない」様が

火を付けてしまっただけ、というケースもあるのでは、と思います。


その罵詈雑言はMさん個人に向けられているというよりも、

その方のこれまでの様々なうっぷんに対して向けられているものかもしれません。


まず、このような「罵詈雑言が生まれる仕組み」を知るだけでも、

少し冷静さが掴みやすいのではと思います。



そんな仕組みだという考えのもと

罵詈雑言を浴びせているお客さんと、

それをたまたま対象としていらっしゃるMさんの構図を

いわば、自分が雲の上から観察するように

「お客さんもなにかモヤモヤしてたんだろうか」

「その運転手も運が悪かったんだろうねぇ」

と眺めるようにして、心で都度流していく。


罵詈雑言をMさん本人が受け止めるのではなく、流す


そんな対処はいかがでしょうか。


もちろん、すぐ耳元で大声で怒鳴られたり、

時には席を蹴飛ばされたりもあるかもしれませんので、

なかなかそのように冷静に流すのは難しいかもしれません。


そして、Mさん御自身も、心の余裕がある時でないと

そのような"流し"は簡単ではないかもしれません。


自分もこのような姿になってから、ネット上で

実に様々な罵詈雑言を頂くこともありますが、最近は自分は


「この方も、日常でいろいろ苦しんでいるのだろうなぁ。

でも、そのはけ口として、たまたま道端で

苔をかぶって転がっていて、つば吐きかけたり蹴飛ばしたりするのにちょうどよさそうな

小さな名もなきお地蔵さんのような役割として、自分がそこにいたんだろうなぁ。

80億人もいる中で、たまたま自分がそのような役割として、

この方の役にたつのなら、それも有り難いじゃあないか」


なんて考えるようにしております。

ちょっとドMかもしれませんが(汗。


長々と勝手なお詫びと役に立たないお戻しになってしまい申し訳有りません。


それでも、多くの乗客の皆さんは、仮に一言も発してなくても

Mさんが無事に目的地に届けてくれたからこそ、

次なる人生へと進むことができているのだと思うと

全ての走行が、その方の人生というドラマにおける、

大小さまざまな「未来への架け橋」となれているのかもしれません。


そう考えてみると、素晴らしい役割なのではないでしょうか。


移動には徒歩がメインで、バスなど公共交通機関が多くなった自分としては

タクシーにお世話になる機会がめっきり無くなってはおりますが、

次回お世話になる時には、大きな声で「有難うございました」とお伝えして

降りるように精進したく存じます。


Mさんの、日々の走行が安全で、そして

乗られる乗客の方々とともに、おだやかでおもしろき時間が重なりますよう。


龍光

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以上のお戻しをさせて頂きました。

龍光ポストで頂くご相談は全てお戻しさせて頂くようにしておりますが

そのお戻しに、さらにお返事が来ることは多くありません。

ですが、Mさんからは、すぐにお返事をいただけました。

そして、その内容は大変感銘を受けるものでありました。

以下が、Mさんからのお返事です。

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返信ありがとうございます

私自身 ネット上で人に相談する事 自体が初めての事で

返信してくれるなんて 嬉しかったです


返信してくれた事 その事だけでも少し救われた気分になりました


そして龍光さんの 言葉で 私自身にも『奢り』が あった事に気づきました


理想のルート・理想の接客をしたのに

なんで 

このお客様は私に対して紳士的淑女的な態度をしてくれないんだろう‥‥と


良い仕事をしたら報われるべきなのに どうしてなんだ‥‥と



私自身も お客様に対して

『こうあってほしい』と勝手な希望を持ってしまってました


その『奢り』に気づかせてくれて感謝いたします



生きてく事は ままならない 事の連続なのに


ままならない事を 『思う通り』にしようなんて きっと完璧超人や神様の所業なのに‥‥


仕事が長続きしてるからと言って

思い上がってる自分が居た事に気づかせてくれて 

ありがとうございます m(_ _)m


これからも タクシー道を精進して行きます❕


また 何か負の感情が溜まったら

龍光ポストに 相談させて下さい


龍光さんが末永く 健やかに過ごせますように‥‥m(__)m

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以上が、Mさんからのご相談から生まれたやり取りです。


「自分が良い仕事をしたら、報われるたい」

というのは、多くの人がもつ純粋な期待と思います。

でも、たしかに時に「思う通りにならない」ことだって起こるものです。

そんな時に「なんでだよ!」となるのではなく

「報われるという期待をもった、自分の思い上がり、『奢(おご)り』かもしれない…。」

といった謙虚な心を持つことは並大抵のことではないと感じております。


このお返事に大変感銘を受けて、その感謝をMさんにお送りさせて頂きました。

そんな有り難い内容を、皆様にも勝手ながらシェアさせていただければと思い

ご紹介させて頂きました。



今日も大変長くなってしまいましたが、

最後までお付き合いくださり、有難うございました。




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