呼吸は身体も心も治せるスゴイもの - 龍光ブログ

 呼吸は身体も心も治せるスゴイもの - 龍光ブログ


アニメ「鬼滅の刃」ご覧になりましたか?

全編を通して"息"がとても重視されています。

そして、その中では、

"呼吸の仕方により身体のダメージを治す"シーンも

数多く登場します。


でも、これはアニメのお話しではなく、

科学的かつ、ある程度現実的な話しでは。

というのがこのブログの概要です。


「呼吸の仕方?胸じゃなくって、腹が大切ってコトでしょ」

前世の僕のように、せっかちな方は、そうスルーしてしまうかもですが、

コレは、シンプルな腹式呼吸よりもっと奥が深く、

かつ我々の物理的な構造からも、

身体を健やかに保つのに、とても合理的な呼吸法かも。

と、もう少し、お付き合いしてみてくださいませ。


"呼吸への意識の向き合い方による、こころや精神への効果”

については、

過去のブログ「瞑想について」にて、

まとめさせて頂きました。

そこでは"呼吸の仕方"ではなく、

"呼吸への向き合い方"がポイントでした。

それにより、穏やかな心を手に入れたり、集中力が増したりできる。


今回のブログでは、

呼吸の仕方を意図的にコントロールすることで、

"こころ"だけではなく、"身体"に対しても効果をもたらしうるのでは。

という内容です。


具体的には、

全身へのフレッシュな血流の促進(古い血を滞らせない)、

心臓や血管の負担軽減、

脳溢血のリスク軽減、

エコノミー症候群の予防、

さらには、

運動や歌もうまくなることにまで、つながりうるのでは。


というお話しです。

僕は医者ではありませんし、

僕が学んだ複数の本には医学者が書いたものもあるとはいえ

まだ医学会でも様々な意見がある分野だと思います。

ですので、まぁ、そんな知見もあるのか、

くらいでご覧くださいませ。


「はよ具体的な呼吸法を教えて」というお気持ちの方も

いらっしゃるかもしれませんが、

具体的な呼吸法のやり方の前に、

「なぜ身体に呼吸の仕方が影響を及ぼしうるのか」の

"仕組み"からお付き合いくださいませ。


では、参りましょう。


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「なぜ身体に呼吸の仕方が影響を及ぼしうるか」


"呼吸"という行為を身体全体で見ると、

酸素を取り込み(身体が膨らみ)

二酸化炭素を吐き出す(身体がしぼむ)。


"呼吸の仕方"というのは、つまるところ

”身体のどこをどう膨らませて、どこをどう萎ませるか”

というコトになるわけです。


さて、身体の大部分は

胴体(頭と手足と男性ならばチンチン以外)という

いわば、縦長の1つの"袋"でできている。


その胴体という袋の真ん中あたりには、薄い”膜”があり

胸の袋(胸腔)と腹の袋(腹腔)の2つの袋に分かれている。

それらを仕切っているのは、

良く知られた"横隔膜"と呼ばれる薄い筋肉。


胸の袋も、腹の袋も、

それぞれが様々な筋肉で囲まれていて、

それらのどの筋肉を動かすかにより、

どちらの袋を、膨らんだり、しぼんだりさせるか、が変わる。

つまり、「呼吸の仕方」が変わるわけです。


身体に酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出すという

"呼吸をする"目的だけならば、

最終的には、”肺”という胸の袋の中の小さな風船を

膨らませ、萎ませればよいのですが、

その動作を実現するやり方次第では、

つまり、胸や腹にある筋肉たちの動かし方次第では、

胸と腹の袋に収まっている

心臓、ぶっとい血管、肝臓など、様々な他の臓器の状況も変わりうる。


具体的には、それら臓器にかかる“圧”が変わったり、

臓器の身体内での物理的な位置が変わる。


胸の袋の圧の変化が急激すぎると

その中にいる心臓への圧の変化も急になり、

交感神経/副交換神経への刺激が増え、

血圧の上下も急速になり、

血管や脳に負担がかかる(脳溢血にもつながりうる)。


腹の袋の圧の変化が弱いと、

腹の袋の中にある、身体最大の静脈である

下大静脈のポンプ機能(心臓へ血を送り出す力)が弱まり

血の巡りが悪くなる(全身での、退廃物の撤去やフレッシュな酸素の取り込みができにくくなる)。

または、フレッシュでない血がたまる、うっ血なども起こり得る。
※腹腔内の圧が強すぎてもデメリットはあり

さらには、息を吐き出す際に、特にコントロールしなければ、

自然と腹の袋の中の臓器が上方へ持ち上げられる

(肺のしぼみとともに胸の袋が萎むから)。

これは身体の重心が地面より離れて、安定感を失う。

スポーツにおいては、力も出しにくく身体もぶれやすくなり、

嬉しくない状態となる。


このように、呼吸の仕方 = 肺と腹の筋肉の動かし方次第では

全身の状態に影響を及ぼしうる。


ざっと、仕組みはそんな感じです。


さて、では、どのような呼吸法が良いのか。


「どのような呼吸法がよいのか」


繰り返しですが、呼吸法には諸説があり、

下記の内容が医学的にベストかは分かりません。


ゆえに、すこし、大ざっぱにまとめております。

ご興味ある方は「丹田呼吸」や「逆腹式呼吸」で様々な本が見つかります。


まず、姿勢。

座っていても立っていても、内臓に余計な圧や、筋肉に無駄な緊張を掛けないよう

左右、前後バランスのよい姿勢が大切。バランスよく、リラックスが大切。


そして、呼吸は、吸う以上に、吐くのが大切です。

袋(肺)の容量は限られているので、まずは二酸化炭素を吐き出さないと

フレッシュな酸素を取り込める量も限られるからです。


そして、得てして、感情的にこわばっている時(緊張、怒り、不安など)は

身体もこわばっており、呼吸が浅くなりがちです。

そうすると、苦しく感じて、思わず「吸おう」としがちです。

ですが、まずは「吐き出してから」でないと、吸い込むスペースが生まれません。

吐くのが、大切です。

いかに、身体がリラックスし(余計な筋肉の緊張がなく)

肺の容量もムダにせずに呼吸をできるか。

下記の方法は、しっかり吐き切り、しっかり吸い込むという手法として

とても効果的ではと実感しております。



最初は準備呼吸として、緩めの深呼吸から。

まず、身体のこわばりを取ることが大切です。

1. 上半身を伸ばし、肩甲骨を狭め、胸を広げ、天から頭のてっぺんを糸で引っ張られるように上体を上に伸ばして息を吸い

2. 天からの糸が緩んだ感じで息を吐く

3. 吐くにつれ、やや前傾し、特にみぞおちからおヘソは緩んでいること。

 (へその2cm上あたりで、腹に横の溝ができるといい感じ)

ポイントは、決して、息まないこと(ウンチを押し出そうとするような、頭に血が上っている状態を避けること)

いわゆる、胸式呼吸。

ゆるーい深呼吸。

これを3回ほど。


次に、吸う時

1. まずは準備呼吸と同じ要領で、吸う(甲骨を狭め、胸を広げ、天から頭のてっぺんを糸で引っ張られるように上体を上に伸ばして)

さらにそのまま

2. 複式呼吸でも吸う(お腹を膨らませ、横隔膜を下げて、胸腔をさらに広げて、さらに肺に空気が入る)


これにより、胸式もしくは複式片方だけの”吸い”よりも、肺により多くの空気を取り込めます。

※決して、無理して目一杯吸い込もうとしないこと。息み、に繋がります。

胸を広げて吸ったあとに、腹を広げて、追加でも息を吸えるのだ、くらいな気楽さが良いです。


そして、吐く時

1. 吸ったあとすぐに鼻で”フン”と息を漏らす(圧を抜く)。

※胸と腹の両方で息を吸うと、頭部や胸腔に圧がかかり”息んだ”状態になるので、

それを避ける目的。息んだ状態は、血管や心臓に負担がかかるためです。


2 そのまま、息を”ウーム”と漏らしつつ、丹田(ヘソ下10cmあたり)に意識を向ける。

丹田への意識のイメージは、おしりの穴を閉じるよう力を入れて、

足の親指の裏で大地を掴むようにすると感じやすいです。

もしくは、歩くように脚を交互に動かし前に進むイメージ(実際に動かずに。太ももの内側に左右それぞれ順番に力が入る)。

そうすると、”丹田”に張りが出て、少し持ち上がるような感じが生まれます。

これは、様々な運動でも大切な、”気合”が腹に感じる状態です。

スポーツの試合で、腹から「イヤーッ!」「トォー!」と掛け声をするのは、

この状態を作りやすくするためと思います。

前述の通り、重心も上がりにくく、ふらつきにくく、体さばきにも有利です。


ここでは、みぞおちからおヘソまでの箇所はリラックスできていることが大切です。

みぞおちからヘソ(上腹部)が緊張していると、”息み”が起こりがちです。


3. 肛門を閉じ、大地を踏ん張り、下腹部(丹田)を押し出すように息を吐き切る

4. 下腹部がへこみはじめたら、今度は身体の上体を上へ伸ばし、腰を前に押し出してお尻と離すように伸ばすことで、さらに下腹部を凹ませ、息を吐ききれる。


この"4"が、特色と感じています。

腹の袋の圧は高くしたまま、上体を伸ばすコトで胸の袋がしぼみ、

息をさらに吐き出しやすくなる感じです。


以上。

そして、また一度、リラックスした緩めの深呼吸へ。


全体の動きのイメージとしては

吸う 胸を広げ胸で吸い + 腹広げて腹で吸い

吐く 下腹(尻まわり)でしぼり吐き出し + 最後に上体伸ばしいて絞り切る。



これは、日常で常におこなう呼吸というより、

例えば朝、起きてから、ストレッチや瞑想の前とか、

たとえば寝る前とかに何度か行うと効果的ではと感じております。


ただ、日常でも、丹田への意識を保つことは、

結果的に腹圧を緩みにくく、静脈のポンプ作用を助け、重心を常に下にさげ、

メリットが多いのではと感じております。


もっとも大切なことは、

ブログ「瞑想について」でも書いたのですが

"呼吸に意識"を向けるコト。


呼吸の仕方ひとつで、体内への酸素や血流の状況が変わり、

こころの持ちようも変わり、

いわば、自分の身体や、心をうまく操縦する

とても大事な”ハンドル”や”アクセル/ブレーキ”の役割にもなっている。

なのに、多くの人生の時間で”自動運転モード”にお任せになっている。


でも、呼吸は、

ブッダも注視していたと経典にも残っており、

ブッダ以前からの古代インドに生まれた、ヴェーダにも

呼吸について語られていたり、

現代でも、スポーツ中心に呼吸の重要性を語られており

数千年間、語られてきているからには、意味があるのでしょう。


にもかかわらず忘れがちな呼吸に、日常生活でたまに意識を向けるだけで、

とても大きな変化が訪れるのではと思っております。


「おぎゃあ!」の瞬間から、

文字通り、我々が"息を引き取る"瞬間まで

かならずずっとお世話になる"呼吸"。

意識して、活用していくと、楽しいのでは。


今日もお付き合いくださり、有難うございました。





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